危ないゴロゴロ

乗り継ぎで駅の構内を抜けようとしたときでした。
ひとりの女性が、私の歩く前を横切るように右へ移動していきました。

私は駅のポスターに目をやりながら、その女性が移動するのをやり過ごし・・・
たと思ったら、ガタ!っとつまずきました。
女性が引いていたスーツケースに足を取られたのです。
ポスターを見ていたせいで、スーツケースに気が付くのが一瞬遅れて、
かなりの勢いで足がぶつかり、転びそうになりました。

転んでは大変!と、思わず、その女性の背中に手をかけて、
倒れそうな身体を押さえ、なんとかふんばりました。

女性の背中に力をかけてしまったので、
振り向いたその女性に、声を出して「ごめんなさい」と謝りました。

女性は、何も言わなかったけれど、
「いいえ、どういたしまして」という感じで、わずかな笑顔を返してくれました。

ホームに向かう階段をのぼりながら、
私は、なんだか納得いかなくて、首をかしげてしまいました。

だって、私がぶつかって転びそうになったのは、
人々が行き交う混雑した構内を、ゴロゴロとひっぱられたスーツケースです。
目の前を横切った女性のあとから、まさかスーツケースが続いているとは思わずに。

私は、彼女の背中に手をかけてしまったことを謝ったけれど、
彼女は、せめて、「いいえ、こちらこそすいません」と言うべきだったのでははないの?
背中に手をかけて謝った私を、許してくれるような笑顔ではなく・・・

兵庫県に娘が嫁いでから、スーツケースを持って新幹線に乗る機会が増えました。
人々の往来の少ない外の道路では、スーツケースを引っ張って歩くけれど、
駅の中の通路では、身体の横にピッタリと付けて移動します。
自分が何度も危ない思いをしているので、ゴロゴロと引っ張ることは絶対にやりません。

ほんとうに危ないのです。スーツケースって。
駅の構内やホームでは、どうかゴロゴロしないでほしい・・・と思うけれど、
違うかな?

今日のお出かけ先でいただいた昼食のお弁当