火照った心を抱えながら、
ライブの終わった県民ホールを後にして駅へ向かっていると、
横を歩いていた女性から声がかかりました。
「みなとみらい線の駅はどこか分かりますか?」
私は「はっきりは分からないけれど、たぶんこっちでいいと思います。
私もその駅へ行くところなんですよ」
「すみません、一緒に行っていいですか?」
今日は初めて、みなとみらい線の「日本大通」駅から来たので、
道順に自信はなく、だいたいの方向しか分からなかったけれど、
コンサート帰りの人波が続いているし、
「いいですよ、一緒に行きましょう」と答えて並んで歩きました。
きっと同じ気持ちのはず、と思って、
「素晴らしかったですね~」とその女性に話しかけました。
そして、その一言がきっかけになって、一気に気持ちが近づき、
横浜駅で別れるまで、女性とのおしゃべりがずっと続きました。
女性は私よりひと世代下で、ファン歴は30年くらいと言っていました。
そして、「私、今、ずっと介護してるんです」
「だから、チケットが取れたときから、根回しが大変で。
今日は、離れたところにいる妹に出てきてもらって、面倒を・・・」
「ふだん、ほとんど家から出かけないので、今日は久しぶりの横浜で、
人の多さにびっくりしてしまって・・・」
「ほんとうに素晴らしい方ですよね。
ずっといつもブレないで、人間性というか魂というか、
そういうところに惹かれます。
そして、今日もそうだったけれど、すごく大人なのにかわいいんですよね」
私も、もちろん「うん、うん、そう、そう」と相槌を打ちながら、
横浜までそんな話をずっとしていました。
横浜でホームを降りて、彼女は相鉄線、私はJRへと別れる時、
彼女へ「またどこかのツアーでお会いできるかもね。
次のコンサートまで、介護をがんばってね」
と言って手を振りました。
私など、チケットさえ取れたら、だれに気兼ねせず、
自由に飛んでいけるのに、そんな風にできない人がいる。
あらためて、自分の身に感謝した帰り道でした。
この道の左側は山下ふ頭です。
県民ホールは人が集まっているのに、
雨の降り続く中、こっち側まで来て、濡れながらiPhone構えて、
写真撮ってる人なんて、だ~れも居なかった(^^ゞ